先日のニュースで、40歳代の男性がダニに噛まれて脳炎を発症したということが報じられていました。
この脳炎による被害者は、国内では23年ぶりだそうです。
ダニが媒介する感染症は、感染症法という規定で報告義務があります。
犬を飼い、毎日散歩をする私達にとっても、ダニの存在には注意しなければなりませんね。
【噛まれたらどんな症状がでるの?】
噛まれてまもなく、嘔吐、下痢、下血、発熱、頭痛、筋肉痛などの症状が出ます。
ここまでの症状では、風邪と間違われることも多いようです。
風邪と間違えられて手遅れとなることが、一番恐ろしいことですね。
その後、脳炎や髄膜炎を発症し死に至る場合もあります。
また意識障害やけいれん、全身の麻痺がおこることもあります。
今回と同じダニ媒介脳炎ウィルスは、過去に1993年に同じ北海道で発見されています。
・マダニが媒介するウィルスに感染すると、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)という感染症を発症します。
ダニによる感染症は、今まではマダニが媒介していましたが、マダニによる感染症が発生していた地域が、国内でも南西の地方だったので、北海道で発見されたことは意外です。
感染症を起こすウィルスを持つマダニの生息地、以前は南西地域に多かったのですが、23年間の間に北の地方にまで広まったということになります。
・日本紅斑熱という感染症も怖い
SFTSほど重症化はしませんが、死亡した人もいるのです。
症状は高熱、発疹、マダニの刺咬痕があるのが特徴です。
・ライム病
多くは、マダニから感染しますが、野鳥やネズミもライム菌を持っています。
感染者から直接感染することはなく、ライム菌を持つマダニから感染します。
SFTSや日本紅斑熱と同じように、風邪に似た症状から始まります。
他の2つと違う点では、心疾患、角膜炎を併発する点です。
ライム病は、それほど重症化することはないので、抗生物質で治療できます。
【人から人への感染はあるの?】
ダニに噛まれた人から人への感染はありません。
ダニに噛まれた人だけが発症する感染症ですが、ダニに噛まれウィルスを体内に取り込んでしまった、羊や山羊の殺菌されていない乳を飲んで感染したという例はあります。
【マダニに噛まれた時の特効薬はある?】
血液製剤を使用したガンマグロビン療法、ワクチン接種という対処方法もあるようですが、これは海外で認められているだけで、残念ながら国内では未承認なのです。
自分の身は自分で守らなければならないようですね。
山菜とり、筍取り、農作業では帽子をかぶり、長袖長ズボン、長靴という肌を出さない、またダニが入り込まない服装で作業をするしか方法はないようです。
一方で、ツツガムシ病用の忌避剤を付けて作業するという手段もありますが、完全に防ぐことはできないようです。
では、ペット用のノミ・ダニが近寄らないスポット剤を、作業する時期だけでも使用してみたらどうなのかと思ってしまいました。
効果があるのは1カ月というペット用のものですが、人が使用するには何かの副作用、弊害もあるのでしょうか。
【ペットや人間がマダニに噛まれたら優先する処置とは】
絶対にペットについているマダニをつぶしたり、無理に引き剥がそうとしないことです。
潰すと、マダニの体内の卵が周りに拡散し、二次的な感染をおこします。
また無理にひっぱったりしてマダニを離そうとすると、口先がペットの皮膚の中に残ってしまいます。
もし、マダニに噛まれたら、ペットなら動物病院、人間なら皮膚科に一刻も早く行き、処置してもらうことですね。
専門の医師がダニの口先の部分まで除去してくれます。
一番安全な方法ですね。
【散歩でのお土産としてのマダニは、家の中に待ちこまない】
犬は、いろんなものに興味を持ち、ミミズの死骸もそうですし、蝉の抜け殻、巣だったばかりで飛び方も初心者のスズメの子供が、飛び立つ前に道路上で車にひかれたのではないかというものもあります。
また、草むらには、知っている犬の排泄物やオシッコをかけていった匂いもついています。
草むらに顔を突っ込んで確認もしますね。
でも、その時の犬の吐いた息の中の二酸化炭素を察知してダニは、犬の顎や鼻、顔に飛び乗ってくることがあります。
散歩から帰り、そのまま浴室でお尻、手足を洗っただけでは、ダニは落ちないでしょう。
玄関の外で、家に入る前にブラッシングすれば、ある程度落とすことができ、家の中に持ちこむことも少ないでしょう。
ペットについてきたダニが家に入り込み、そこから繁殖することは簡単に考えられ、とても危険です。
家に住みついた多数のダニに血を吸われて、貧血になる犬もいるそうです。
手足を洗った後は、念入りにペットの体を見てあげることができると、犬も飼い主の私達も救われますね。
家の中に住みかを作らせないようにすることが、飼い主の責任ですね。